2011年10月10日月曜日

深い衝撃

先月、北海道に行ってきました。

人生初の北海道ということで、広大な大地、澄み渡った空気、そして味噌ラーメンとあらゆるものが僕にとって新鮮で、とても実りある素晴らしい時間でした。

そのなかでも、最も衝撃かつ印象に残っている出来事を紹介したいと思います。

実は、苫小牧市にある社台スタリオンステーションにて、伝説の三冠馬ディープインパクトに会ってきました。

2005年の三冠馬「ディープインパクト」
史上2頭目の無敗でクラッシック三冠を達成するなど数々の記録を残した名馬
鞍上は武豊騎手

北海道旅行の本当の目的は僕が大学で所属しているゼミの合宿だったのですが、自分の中では完全にディープに会うことが目的になっていました。(ゼミ長なのにすみません・・・)

それほど楽しみにしていたこの瞬間。

本来、ゼミ生は新千歳空港から宿泊地である札幌市まで移動する予定になっていましたが、目的地である社台スタリオンステーションが空港から20分の近距離にあるということで、僕と友人の@_ryhは先生にお願いして別行動を取ることに。

しかしさすが北海道。
その広大すぎる大地ゆえ、交通機関が他の都市ほど十分に張り巡らされていません。
泣く泣く往復8000円もかかるタクシーに乗り目的地へ。

道中、僕の興奮は最高潮。
胸の高鳴りはとどまるところを知りません。

そして対面の瞬間。

ディープインパクト
2011/9/17社台スタリオンステーションにて

伝説の三冠馬がそこにはいました。
現役時には「翔ぶ」と形容された力強さと優雅な気品を漂わせながら。
深い衝撃という名前の通り、人々に深い衝撃を与えたディープインパクト。
現在は種牡馬生活を送っているため現役時に比べると馬体はふっくらとした印象でしたが、引退から5年経った現在でも大名馬たる風格を十分に備えていました。

ここでディープの経歴を簡単に紹介したいと思います。

父はサンデーサイレンス(sunday silence)
母はウインドインハーヘア(wind in her hair)

余談ですが、ウインドインハーヘアはなんとセンスのある名前でしょうか。
直訳ですが「wind in her hair」は「彼女の毛の中の風」という意ですね。

サンデーサイレンスも歴史上最も優秀な種牡馬の一頭に数えられる名馬です。

この偉大なる両親の元、2002年に生まれたディープインパクト。

幼少期のディープは、体のバランスは良いが他の馬と比較して目立って良い点は見受けられず、また馬体も小さかったため、あまり期待されていなかったそうです。

そのためか、ディープは0歳時に行われたセレクトセールでサンデーサイレンス産駒14頭のうち9番目というあまり高くない評価でオーナーの金子真人さんに落札されています。

しかし、周囲の低評価とは裏腹に、金子さんはディープの持つ瞳の力強さ、そしてその輝きに衝撃を受けて落札を決断したそうです。

金子さんはこの時のディープの瞳の輝きに受けた衝撃と、多くの人に強い衝撃を与えるような馬になって欲しいとの願いを込めてこの仔馬をディープインパクトと名付けました。

ここからはあまり語る必要もありません。

デビューから7戦全勝
有馬記念ではハーツクライに次ぐ2着、フランスで行われた凱旋門賞でも2着(後に失格)と敗れはしましたが、生涯成績は14戦12勝(2着2回)の堂々たる競走成績です。

2005年にはシンボリルドルフ以来となる史上2頭目の無敗でのクラッシック三冠を達成しました。(シンボリルドルフは先日の10/4に30歳で亡くなりました。)

ちなみに中央競馬におけるクラシック三冠とは、以下の3つを制覇することです。

皐月賞
東京優駿
菊花賞

日本の歴史上、三冠の達成馬はこれまで6頭しかいません。
そのなかで、ディープは無敗での達成という大記録を樹立しました。

そんな史上最高の名馬に一目会えただけで、同じ空間にいられただけで、本当に幸せでした。

他にもかつて競馬場に名を轟かせた名馬達が放牧されていました。
シンボリクリスエス、ダイワメジャー、キングカメハメハ、クロフネ、キンシャサノキセキ
もう・・・感動しっぱなしでした。

社台スタリオンステーションにはディープインパクトに国内で唯一土を付けたハーツクライやかつての三冠馬トウカイテイオーもいるようでしたが、残念ながら会うことはできず。

しかし、ディープに会えただけでも十分に満足です。
僕の心にも実際にディープは深い衝撃を残してくれました。

ここで、なぜ僕が競馬を好きになったのかを説明したいと思います。

きっかけは先ほども紹介した友人の@_ryhでした。
彼は幼少期から両親の影響で競馬を見ている十年以上の筋金入りの競馬ファンです。
当然、彼が競馬好きなことは知っていました。

僕はこれまでナリタブライアンやディープインパクトといった名馬達の名前くらいは聞いたことがあっても競馬については全く興味の無い人間であり、当然馬券など買ったことがありませんでした。

しかし、今年の6月に僕の人生観を変える出来事が起こりました。

6月5日に行われた第61回安田記念
春のマイラー(1,600M)を決めるG1レースです。

この前日、彼は僕の家に来て突然レースの予想をし始めたのです。
そこで、馬の素晴らしさ、どのような指標を用いて勝ち馬を予想するのか、そして歴史上の名馬の話などを熱く一時間ほど聞かされました。

翌日の安田記念の予想も。

そこまで語られると、さすがにレースの予想をしてしまいますよね。

僕も素人ながら、競馬を予想する際に参考にする様々な指標(戦歴、体重、コース、タイム、血統、調子、距離等)を駆使して数時間かけて予想しました。

①ストロングリターン
⑧アパパネ
⑭リアルインパクト

馬券はこの18頭中この3頭を中心に購入。

そして当日。

当たりました。

1着リアルインパクト、2着ストロングリターン、一番人気のアパパネは6着。

単勝オッズ
リアルインパクト:29,3倍
ストロングリターン:11,9倍
1着、2着の馬連には122,7倍という高額オッズが付きました。

僕は①−⑭の馬連を1,000円分購入していたので、なんと初競馬で122,700円を得ることになってしまいました。

もう興奮ですね。

初めて真剣に見る競馬中継。
気がついたら汗ばむ拳を握り締めている自分。
馬がゴールした瞬間は混戦だったの着順が全く分かりませんでしたが、確定画面が出て自分の馬券を確認した瞬間、アドレナリンが大量に放出されているのを感じました。

第61回安田記念
ゴール前の非常に混戦した様子が分かる
左端の馬が牝馬三冠を達成した一番人気アパパネ

しかも、競馬のイロハを教えてくれた友人も偶然にも全く同じ馬券を買っていたので、一瞬にして二人で合計24万円を獲得したわけです。

二人して狂喜乱舞です。

もう完全にジャンキーですね。

この出来事が契機となり、僕は競馬を好きになりました。
いや、厳密に言うと馬が好きになったと言う方が適切ですね。

ちなみに、僕は毎週競馬に大金を注ぎ込んだり、お金を目的として競馬をしているわけではありません。これは誤解されたくない。

競馬をする動機は人によって様々です。
しかし、僕は決してお金欲しさにやってる訳ではありません。
実際に100円単位で馬券を購入することもよくあります。
お金欲しさに競馬をする人ならこのような買い方はしないでしょう。

競馬において勝敗を予想する上で重要な様々な要素を一つずつ拾い集め、それを総合的に勘案し、思考し、最終的に己の頭で確固たる決断を下す。
競馬のこの性質は、ギャンブルのそれとは大きく意味が異なります。
もちろん運も必要ですが、そこにある原理は投資と同じです。

つまり、馬を選ぶまでに経た思考のプロセス、そして何時間もかけて下した決断が間違っていなかったことが結果という形で客観的に証明されることに、ある種の喜びを感じるのです。
あくまで賞金はその対価であって、的中した時に得られる興奮の本質ではありません。

馬の血統、その歴史に思いを馳せ、好きな馬を応援することに楽しみを感じるのです。

そして、何よりも馬が可愛い。

初めはディープインパクトの息子だということで何気なく選んだリアルインパクト。
そしてその馬を選んで勝ってしまったという事実。
そこから、リアルインパクトやその血統について調べるようになり、気がつけば競馬そのものについて興味を持つようになりました。

一度火がついた知的好奇心は簡単には止められません。

リアルインパクト→ディープインパクト→クラシック三冠とは→過去の三冠達成者→シンボリルドルフ→その息子であるトウカイテイオー→競馬の歴史→エンドレス・・・

このようなフローで一度調べ始めたらもう止まらないのです。

馬や競馬の歴史を調べれば調べるほどその奥深さに魅了されていくようになりました。
そして何よりも馬が好きになりました。

だからこそ、今回北海道に行くにあたり社台スタリオンステーションを訪れたかった。

歴史上数多く存在する名馬の中でも最も好きな馬、偉大な三冠馬ディープインパクト。

いち競馬ファンとして、その雄姿を見れて本当に幸せでした。

最後に最も好きなディープのレースを紹介して今回の記事を終わりたいと思います。

2005年若駒ステークス
ディープの圧倒的な強さを示したレース

ちなみに、北海道旅行は一日目は社台スタリオンステーションを出た後札幌市内を観光し、二日目は朝から晩までゼミのプレゼンテーションを行いました。
そして、その夜はサッポロビール園でジンギスカンを食べ、ホテルに戻り先生を交えてゼミ生で夜中の2時まで語り合うという素晴らしい経験をすることができました。

ゼミについては機会があればブログに書こうと思います。